As Pleat
Quiet Gray 1 [featuring Moskitoo]
Skating Azure
Bleach Black
Frosted Mint
Carmine Fall
Ecru Diver
Snow Petal
Iris(Familiar) [featuring Moskitoo]
Canary Breath
Quiet Gray 2
フォーカラー『アズ・プリーツ』
AMIP-0008
2,000円(税込)
国内流通盤5月19日店頭販売
12k
※日本盤は初回出荷分に未発表音源を収録した特典が付きます。
杉本佳一によるソロプロジェクト"FourColor"4年半ぶりの新作「As Pleat」リリース!
All songs composed and mixed by Keiichi Sugimoto
Voices on track1&10 by Moskitoo
Mastered by Taylor Deupree
Cover painting by Moskitoo
Photography by Keiichi Sugimoto
FourColor『As Pleat』
ライナーノーツ
安永哲郎(安永哲郎事務室/minamo/HELLL)
どうすれば伝わるか。いつでもそれが問題だ。
その目に映らなくても、確かに見えるもの。かたちが無くても手触りを知っているもの。初めて出逢ったものへの戸惑いと期待。失うことに対する不安と安堵。記憶や感覚が確かで生々しいものほど、それを誰かに伝えることの難しさを思い知らされて、僕たちはしばしば途方に暮れる。
「言葉では言い表せない」。だとしたら、何をどう駆使すれば伝わる?「同じ体験をすればわかる」。そう言うのなら、まず「私があなたでない」という事実をどう乗り越える? その場所に行けたとしても、同じ時間には戻れないことはどのように解決すれば?
折りたたむ
それでも僕たちはずっと、伝えることを諦めないできた。「私があなたでない限り、私は私を主語に語り伝えるしかできない」。そんな言外の了解のもと、完全なコミュニケーションなど無いという前提に従いながらもなお、僕たちは多様なコミュニケーションへの挑戦を繰り返し、少しの共感と深い失望を繰り返しながら共にひとつの環境世界に暮らしている。たぶん、音楽と言語が未分化だったであろう遥か昔からそうしてきたのだ。
音楽は長い間、コンテクストの共有を前提としたメッセージだった。階級、労働、そして運動。それが流れる場が舞踏会であれストリートであれ、音楽史のほとんどのシーンにおいて、社会背景が強いる実体験がそのまま表現者の初期衝動へと直結することで音楽は生み出されていた。それはやがて近代に向かうにつれ、情報化と産業化の波とともにコンテクストからの解放へと大きく変容していく。このことはブライアン・イーノが1978年から発表した連作で一般化したアンビエント・ミュージックにひとつの象徴を見ることができるだろう。そして状況はそのまま制作環境と聴取環境の多様化とともに加速を続け、90年代中盤から00年代初頭にかけてひとつのピークを迎える。この時期に見られたアブストラクトから音響、エレクトロニカへとつながるプロセスは、主語であるはずの表現者を相対化し、コンテンツとしての楽曲そのものからコンテクストを剥奪することで、音楽表現のあり方そのものを大きく変化させた。まるで周囲の土砂が削り落とされ、化石が徐々にその輪郭をあらわにするかのように、「新しいリスニング」のパラダイムを聴き手にダイレクトに伝える土壌が姿を見せたのである。
そんな「新しいリスニング」の渦を巡る主人公のひとりに杉本佳一がいる。
今でこそFilFlaやFonica、minamoなど、ダイナミックなバンドサウンドから繊細なインプロヴィゼーションまでを様々な名義で展開する杉本だが、そこに至る出発点として、1999年に発表したFourColor名義での1stアルバム『Track Spoon』はとても興味深い重要な作品といえるだろう。ここではミニマルなパターンのループからドローンまで、いまの彼の持ち味につながる多様なスタイルが瑞々しく入り交じっていて、いまだに色褪せていない。続いて自身のレーベルcubic musicの立ち上げを経て限定リリースした作品『FourColor』では、ブレイクビーツ風味を強くし、ややアグレッシブに構築的な世界を作り出した。今聴くとここまでの二作はある意味、未整理で衝動的だ。それでも杉本の作品に対するまなざしは最初から冷静だったし、醸し出す質感も温度も今日まで首尾一貫していると思う。そのことを証明するのが、minamoの3rdアルバム『beautiful』を経て同じアメリカのレーベルApestaartjeから2004年にリリースした『water mirror』だ。その時にできること/興味があることをスケッチを記すように紡いだというこの作品は、ギター・アンビエンスに焦点を絞ることで結果的にFourColorの本質を浮き彫りにすることに成功した。その延長で同年に12Kから発表した「AIR CURTAIN」と対を成して、FourColorはその足でしっかりと大地を踏みしめたと言えるだろう。もちろん彼にとってそれはひとつのスタイルに回収されることを意味しなかった。続く2006年の4thアルバム『LETTER OF SOUNDS』では異なる世界観を持たせた楽曲群をコンパイルすることで、並行して立ち上げたもうひとつのプロジェクトFilFlaとのポジショニングの違いを明確に宣言した。
それから四年半。いま僕たちの手元に届けられた『As Pleat』は、通算5枚目でありながら、彼自身のコアにあらためて立ち戻り向き合った末に磨き出された作品に仕上がっている。コンセプトは明快だ。「音を絞る」。自分自身の経験知をもとに体系化された仮想的で個人的な「音のライブラリ」から厳選して磨き上げられた音で楽曲を構成する。そのアプローチはしかし、決してストイックで息が詰まるような結果を生み出してはいない。むしろカラフルと言って良いほどの解放感が感じられないだろうか。杉本はそれを、ハプニングをも許容したライヴ性や身体性を意識した結果だと語る。「絞られた音からどれだけ多くのヴァリエーションを生成できるか」、「アンコントローラブルな状況をいかにコントロールするか」、「奇抜なものをどんなバランスで整理するか」。それを自分自身に問いかけ続けることで「音の厚みと存在感」が生まれると信じて制作したという。音にメッセージを乗せるのではなく、音をメッセージ化すること。それによって大文字のサウンドデザインを超えた「リスニング行為そのもののデザイン」という新しいパラダイムへの挑戦が「As Pleat」に結実しているのだ。
「聴く人が音への関心を持ってくれれば良い」。本作を語る杉本は、何度もこの言葉を口にした。振り返れば10年以上前から彼は同じ言葉を繰り返している。その願いをどのように伝えるか。これからもいつまでも、FourColorは問いかけ続けていくだろう。聴き手に。そして自分自身に。
Events
7月1日(金) @福岡 Kieth Flack
REST – FourColor “As Pleat” Release Party –
日時
2011年7月1日(金)22:00開場
会場
Kieth Flack
〒810-0073 福岡県福岡市中央区舞鶴1-8-28 マジックスクウェアビル 1/2F / TEL&FAX 092-762-7733
料金
with Flyer:2000円with 1drink / Door:2500円with 1drink
前売り
pocket1981tb@yahoo.co.jp
Guest Live
FourColor (12k)
Live
Kohshi Kamata, Ozaki Koichi
DJ
tetsuro, KT, ababa, AnammastrA, Yukari Fresh
VJ
BijonoB, AK
お問い合わせ
Otonoha
7月15日(金) @広島 ヲルガン座
layer of perspectives #17
7月16日(土) @神戸 space eauuu(スペース・オー)
FourColor "As Pleat" release tour in Kobe
7月17日(日) @大阪 nu things JAJOUKA
night cruising OSAKA
日時
2011年7月17日(日)17時00分 開場/開演
会場
nu things JAJOUKA
大阪市中央区西心斎橋2-18-18 / 06-6211-8711
料金
前売 2000yen(+1drink) / 当日 2500yen(+1drink)
前売り予約(取り置き)は、E-Mailにてnightcruising@me.com まで、名前/人数/連絡先を明記の上、ご送信下さい。
Live
FourColor, 原 摩利彦, SJQ, [.que]
DJ
DJ iToy aka PsysEx, AAAsaaREE, RAIJIN, Tatsuya
VJ
kono junpei, 宮本精子
お問い合わせ
night cruising
7月18日(月・祝) @浜松 手打ち蕎麦 naru
FourColor “As Pleat” Release tour at naru
6月10日(金) @東京都現代美術館 content
※終了しました。沢山のご来場ありがとうございました!FourColor "As Pleat" 発売記念リリースイベント!
昨年末FilFla名義での最新作「Sound Fiction」をリリースしたばかりの杉本佳一によるアナザーサイド・ソロプロジェクト"FourColor"。実に4年半ぶりとなる新作「As Pleat」の発売を記念し、国内外から先鋭的なアーティストを招きリリースパーティを企画致しました。
Video
Music Video - FourColor "Quiet Gray 1 [featuring Moskitoo]"
Performance - FourColor Live in Tokyo,14 FEB 2011
Performance - FourColor Live in Osaka,17 JUL 2011